プラズマって >

プラズマって

 

 プラズマ、ってすごいエネルギーを秘めている。

 自然界では北極や南極で見られるオーロラ、積乱雲からの稲妻や雷、太陽表面での爆発(フレア)などもプラズマだし、一方で身の回りでは、プラズマ○○○、という商品も数多くみられるようになってきたな。そのほか、照明、ディスプレイ、レーザー、核融合、発電、溶接、コーティングなど。人間の想像力はなんて豊かなんだろう、応用力の高さに感服する限り。

 

 そもそも物質は固体、液体、気体のどれかの状態にあって、基本的には原子、分子から構成されている。プラズマは、固体、液体、気体に次ぐ、第4の状態。原子や分子を構成する電子が自由に動き回っている状態。つまり、原子核にリードで繋がれている電子を目一杯元気にしてやると、リードがちぎれて電子がどっかへ飛んでいく。原子核の呪縛から解き放たれ、電子は完全フリー状態。プラズマ、である。

 

・固体にエネルギーを与えて高温にすると、『融解』して液体になる

・液体にエネルギーを与えてさらに高温にすると、『蒸発』して気体になる

・気体にエネルギーを与えてさらに、さらに高温にすると、『電離』してプラズマになる

 

 プラズマはマイナスの電子、プラスに帯電したイオン、電気的に中性ではあるけれど活性なラジカル、光などから構成される複合的な状態で、全体的にみると電気的には中性を示す。

 

 私たちの表面処理業界において、特にコーティング技術でプラズマは欠かせない。

 例えば、ダイヤモンド。地球上で最も硬い、炭素(C)から構成されるもの。自然界では高温高圧力下で悠久の時を経て、ゆっくりと成長するけれど、プラズマを使えば低圧力下で数時間から数十時間で人工ダイヤモンドを作れちゃう。また、自然界では存在しない、相交わることができないような合金やセラミックスをも作ることができてしまう…まるで、創造主にでもなったような気分。

 励起源としては高周波、パルス、マグネトロン、電子サイクロトロン共鳴(ECR)、アーク放電、電子ビームなどがよく使われているけど、全部使ったらどんな創造物を作ることができるのだろう…。

 

 コーティングでは、プラズマをどうやって扱うのか、コーティングメーカーの腕の見せどころ。プラズマをどれだけ、『うまく騙す』、ことができるのか。励起手法や装置、治具の手癖を知り尽くすと、だんだんと噛みしめるようにわかってくる。こうなったら、プラズマを手のひらで転がすようなもの。さぁ、どうやってコーティングしようかな、とワクワクしたり、ある時は祈るような気持ちでチャンバーの扉を開けたりする、この駆け引きもスリリングでおもしろい。プラズマとの『ツンデレ』な関係はまだまだ続きそう。