方向性が大事 >
24年2月のコラムでテクスチャリング表面という言葉を含めて書かせてもらいました。
今回は無理やりのこじつけ感が否めませんが、それに関連していることを書かせてもらいたいと思います。
私はオーディオも好きで、ただしお金を掛けない自作改造派です。
確か35年くらい前、ある著名なオーディオ評論家が市民会館で講演とオーディオ装置を使った音(音楽)実験を行うとの事で興味津々で参加しました。
その中でとても印象に残っていることがあり、それは板張り舞台の板を張る方向と、音の拡がり, 音の方向性についてでした。
ご存じの通り西洋では古くからオーケストラが音楽を奏でることが多々あり、そのために舞台の床を構成する板張りは舞台向かって横方向だそうです。それは縦張りに比べ横方向に音が伝わりやすく、横方向にいるオーケストラメンバーの音が聞こえ易くアンサンブルを取りやすいためなんだそうです。
一方東洋の日本では、例えば主役が一人(ですよね?間違っていたらごめんなさい)の能を演じる舞台の床の板張りは縦方向、つまり観者方向に向かって張られているそうです。そうすることで演者の声がよく通り観者に明瞭に伝わるのだそうです。
この話を聞いてから、とにかく舞台の板張り方向が気になっています。今のところ例外なく上記の通りの板張り方向です。
機会があればよかったら皆さんも確認してみてください。
この話のあとに評論家がオーディオ装置のスピーカーの下に板を並べ、その並び方を縦横に変えて音の違いを聞かせてくれました。
確かに横方向と縦方向で音の聞こえ方が大きく異なりました。どちらが良い悪いではなく好みの話になると思いますが、とにかく音の違いは歴然としていました。
こんな体験をしてから私は粉体付着抑制, 滑り性向上, 等の表面処理を開発するにあたり、食品機械部品等に使われているステンレス部材の研磨目にまず目が行きます(勿論、研磨目が明確には確認できない部材も使われますが)。
板張り方向と研磨目は全く違いますが、とにかく研磨目とその方向を気にしています。実際研磨目の方向に対し粉体の付着や品物の滑り性、等は大きく影響を受けます。
よってLab試験ではまず研磨目のない鏡面の試験片を使いテストしますが、最終的には処理依頼をいただいたお客様の部材の研磨目方向と粉体や品物を流す方向を考慮しテストし表面処理を決めます。
最初に書いたとおり、なんだかこじつけっぽいストーリーになりましたが、付着や滑り性、洗浄性などでお困りのことがありましたら、お気軽にご相談いただければと思います。お待ちしております。
余談ですが、拙宅のオーディオシステムのスピーカーの下は板張りではなくコンクリートブロックなので、板張りの方向性とは無縁です(笑)。