PFASやPCB、製造業の社会的責任について思うこと >

 現在,新聞報道やWebニュースなどで,多くのPFASに関する記事が取り上げられている。丁度,僕の学生時代にはカネミ油事件をきっかけにポリ塩化ビフェニル(PCB)が問題となった。PCBもPFASと同様に熱安定性や耐薬品性があり,熱媒体や変圧器を始めとした電気部品に大量に使用されていた。大学での化学系の実験室には,油温用PCBが一斗缶で部屋の片隅に置かれ,事件発生以降,処理に右往左往していた記憶がある。

 

 PFASであれ,PCBであれ,安定で分解しにくい物質は産業的利便性によって開発され,使用される。それらは,無くなることもなくただ蓄積される。放射性物質も含めて,本来,地球上に存在しないもの,分解されないもの製造・使用に関しては,毒性の有無にかかわらず再検討が必要な時期に来ていると思う。個人的には,体内に蓄積されるものはどんなものでも代謝系に影響しないはずはないと思っている。

 

 当社は,表面処理・改質の業務のなかで,表面形状による食品付着抑制技術として,脱フッ素のMD処理を開発し,食品製造業で幅広く採用されている。現状を,ビジネスチャンスと捉えるような環境ビジネスに陥ることなく,製造業の社会的責任として,製品のみならず製造工程においても環境負荷を低減する形での技術開発を進めたいと思う。